仁義なき戦いを始めようか ~酢豚にパイナップルを入れる? 入れない? その他諸問題てんこ盛りMIX~

雑学
俺とお前は……戦うことでしか分かり合えない!

はじめに:問題の背景を確認しよう

おそらく日本で最もアツいゲーム「Splatoon2」では定期的に「フェス」と称したイベントが開かれています。プレイヤーが二派に分かれて対戦成績を競い合ってどちらが強かったかを決めるフェスは、慣例としてそれが開始される一週間ほど前に公式からお題が提示されます。

そして、来たる6月15日のフェスに向けて、Splatoonの公式アカウントが6月5日にこんなことをツイートしました。

酢豚にパインを入れるか入れないかの論争は私が生まれる遥か昔より行われてきました。それこそ、唐揚げにレモンをかけるかかけないかと同じくらいの「爆弾」として扱われてきたこの問題は、初対面の人と仲良くなるためには絶対に話してはいけない話題の一つにもなっています。

政治、宗教、野球チーム……人間には「絶対に譲れない物」があります。
それがこの酢豚パイン論争にも如実に表れているのです。

さて、Splatoonを開発・運営する任天堂は以前にもフェスでプレイヤーに仁義なき戦いを強いたことがありました。その時の成績を発表すると火にガソリンを注ぐことになるため勝敗は省略しますが、我々スプラトゥーンプレイヤーはこのような苛烈な争いを乗り越えてきたのだということをご確認ください。

  • 「赤いきつね」/「緑のたぬき」
  • 唐揚げにレモンを「かける」/「かけない」
  • 「きのこの山」/「たけのこの里」

この日本を舞台に数々の「地雷」でお手玉しながら我々に踏み絵を踏ませる運営のことですから、今回の酢豚パイナップルに関しては特に何も言うことはありません。今回もプレイヤー間で素晴らしい戦いが繰り広げられることでしょう。

さあ、決断の時は近いですよ……覚悟の準備をしておいてください! いいですね!


私たちを取り巻く「食べ物に関する戦争」

胸に残り離れない 苦いレモンの匂い

酢豚にパイン、唐揚げにレモン、赤いきつねと緑のたぬき……人は何か対称的な二つのものを見つけるとそれに優劣をつけたがります(主語クソデカ構文)。人間はそれほどまでに愚かな生き物なのです(主語クソデカ結論急ぎすぎ構文)。

そのような社会では知らず知らずのうちに「絶対に負けられない戦い」が行われており、私たちは無意識のうちにどちらかに加担してしまっているでしょう。それを少しでも認知し、平和な世界を目指すためにも我々はここで勉強する必要があるのです。

ということで、下手したら殴り合いの喧嘩に発展しそうな爆弾テーマを次々と紹介していきます。あくまで私は中立派を取るつもりですのでそこのところはよろしくお願いしますね! また、食べ方以外にもそのルーツで争いが起きている物も取り上げますよ!。


◆日本を二分する究極の命題:あんぱんは「こしあん」か「つぶあん」か?

あんぱんあんぱんあんぱんあんぱん

スーパーであんぱんを買うときに必ず明記されている「こしあん」「つぶあん」の四文字。皆さんそれぞれ好きなものは違うでしょうが、こだわりのある人は「俺はこしあんじゃないとだめだ」「絶対つぶあんの方が美味しいでしょ?」などと主張することが往々にしてあります。

長い年月をかけて論争の種となってきたこの問題ですが、当然のことながら結論は出ていません。あの「アンパンマン」の中に入っているのはつぶあんである、ということが最近周知されるようになってからはつぶあん派優勢か、と思いきや、それが決定打になることはありませんでした。こしあん派の「皮が口の中に残る感じが好きじゃない」をひっくり返すには至らないようです。

人の好き嫌いはなかなか変わりません。
身近な食べ物であるだけに両者の溝はかなり深そうですね。


◆言い間違いは絶対に許されない:「お好み焼き」のルーツ争奪戦

左が広島で食べられるもの、右が主に関東で食べられるもの

鉄板モノの食べ物として非常にポピュラーな地位に君臨する「お好み焼き」ですが、地域によってその型は異なります。その中でも特に抗争が激しいとされるのが「広島のやつ」と「関東のやつ」のルーツ争奪戦です。

関東の皆さんはこんなフレーズを聞いたことないでしょうか。「広島お好み焼き」と。もし広島に行かれる方がいらっしゃるなら絶対にこの言葉は口にしてはいけませんよ。口にしたが最後あなたは店の奥に連れていかれて次の日にはお好み焼きの具になっていることでしょう。

そもそもこの二つがどう違うかを簡単に説明すると……

  • 広島のやつ:具を上に「乗せて」いく。そのため高さがあってやわらかい。間に焼きそばが挟まっているのも特徴的だ。
  • 関東のやつ:具はお好み焼きのもとと「混ぜて」から焼く。そのため比較的薄く、密度が高い。

筆者はどちらも作ったことがありますが、広島の方が少々作るのが難しい分うまくできた時は楽しいですね。しかし関東の方のやり方で作ったものも手軽でおいしく、「どちらが良い」と結論は出せません。この戦いはいつまで続くんでしょうね。


◆現代に蘇った日清戦争:「カップヌードル」VS「シーフード」VS「カレー」VS「チリトマト」VS「Sio」VS「味噌」

みんなは何味が好き?

日本中で売られているカップ麺は日ごろからしのぎを削り合っていますが、同じ会社の中でも意見が分かれてなかなかまとまらないことがあります。それが、カップヌードルの王道を切り開いた日清の「カップヌードル」論争です。

オリジナルの「カップヌードル」を皮切りに日清食品はバラエティ豊かな様々な味を展開してきました。最近だと「カップヌードル 味噌」が売り場から消えた、というのがニュースにもなっていましたね。現在は様々な変わったフレーバーのものが出ていますが、定番となったのは上にあげたものが主となるでしょう(ここにあるもの以外が一番だという人はごめんなさい)。

昭和、平成と人々の間で愛されてきたカップヌードルも令和の時代を迎えました。我々の中で新たな「定番」となる味は今後生まれるのでしょうか?


◆日本一を懸けた超デッドヒート:「浜松餃子」VS「宇都宮餃子」

私がいつも食べるのは「桃ちゃんぎょうざ」

最初は宇都宮の餃子が有名でしたが、2007年に浜松市が「餃子日本一の街」と謳ってから因縁の餃子対決が幕を開けました。序盤は宇都宮餃子が首位の座を守り続けていましたが近々は浜松餃子がその地位を上げてきており、今では抜きつ抜かれつの争いにまで発展しています。

同じ餃子ですが、両者のものにはきちんと違いがあります。

  • 宇都宮餃子:中の具に野菜が多く使われている
  • 浜松餃子:中の具に肉が多く使われ、円状に配置されてもやしも添えられる

私のように冷凍餃子が普通で生餃子はなかなか食べない、という人にはあまり聞かない話題ですが、東京など数多くの専門店がひしめくエリアでは日本一を懸けた戦いが続けられています。通販で取り寄せることもできるので興味のある方はどちらも買われてみてはいかがでしょうか?


◆資本主義の隣にその戦いあり:「コカ・コーラ」vs「ペプシコーラ」

戦場となるのは地球上全て。世界を股にかけて活躍する大企業が繰り出す「コカ・コーラ」と、それに負けずとも劣らない人気を誇る「ペプシコーラ」、両者の戦いは遥か昔から行われてきました。同じコーラでありながらもその風味や味が異なることからどちらが良いかの意見は真っ二つに分かれ、互いに互いを睨み合う激戦が今でも繰り広げられてします。

ところで、この二社の戦いと言えば有名なのはペプシコ社の挑発的なCM。今は令和の時代ですが、平成、いやそれ以前からペプシコーラ販促のために行われたマウンティングCMは多くの人々の話題となりました。

少し前の「ペプシネックス ゼロ」のCM

日本人の性格からかもしれませんが、あまり日本では行われないタイプのCMのため印象に残っている人は多いでしょう。しかしこの戦略は、王者であるコカ・コーラを追いかけるペプシ、という立場のもとで行われており、決して考え無しの策ではないのです。コカ・コーラ側も自社が王者であることを分かっているためか、反撃でこのようなCMはせずに堂々とした立ち振る舞いを見せています。

絶対的王者「コカ・コーラ」に立ち向かう「ペプシコーラ」。ペプシは同時期に桃太郎をモチーフにしたCMを放送しましたが、これは鬼に立ち向かう桃太郎と自社の姿を重ね合わせたものでしょう。二社の戦いは今後も続いていきそうです。


◆戦いの舞台はイギリス:「ミルクを注いでから紅茶を注ぐ」か「紅茶を注いでからミルクを注ぐ」か

そのまま飲む派はあまり関係ない話

イギリスの人々は昔から紅茶を愛してきました。紅茶は歴史上のワンシーンにも多く登場し、茶葉が海に投げ捨てられた事件がきっかけで戦争が起きたこともあったんです。英国人はストレート(ミルク・砂糖は入れない)で飲む印象がありますが、本場イギリスではわりとミルクや砂糖をドバドバ入れて飲まれるんだそうですよ。

さて、そんなイギリスで昔から言われ続けてきたのが、紅茶のミルクを「先に注いでおく」か「後から注ぐ」か。先に注いだ方がミルクと混ざって香りが増す、後から注いだ方が紅茶の風味を損ねない、などと両者の意見は平行線で、およそ100年以上もの間このことは議論の種になってきました。

この問題、一応は「ミルクは後から注ぐ」と決着はついたらしいのですが、あくまでもそれはある団体の声明によるもの。各個人の癖や好みを鑑みれば一朝一夕に片付くことはないでしょうね。


実際に裁判まで発展したヤバい例

こっから先は本当にヤバい

ここまで取り上げたものは「まぁ、確かに意見が分かれるけど、ネタとしても割り切れるよね」となるようなものだった。いくら宇都宮市民と浜松市民がお互いを睨み合っていたとしてもそこから裁判に発展することはないだろう。だが、ここからは違う。

食べ物の恨みはなんとも恐ろしい。食べ物のためなら人間はどこまでも熱くなれる。そういうことを念頭に置き、実際に起きた食べ物に関する裁判を見てみよう。

正確には食べ物の味や食べ方に関係するものではないが、食べ物に関する裁判としては大変面白い話なので書かせてほしい。


◆これはケーキかビスケットか:ジャッファ・ケーキ

お金が絡むと問題は面倒くさくなる

舞台は1970年代のイギリス。イギリスでは1927年からのロングセラー商品として「ジャッファ・ケーキ」というお菓子が販売されていた。見た目はビスケットの片側にチョコレートがコーティングされているものだが、その生地はビスケットと異なり柔らかい。

問題が起きたきっかけは、1973年にイギリスが「付加価値税」を導入したこと。
簡単に言えば日本の消費税と同じようにその商品に上乗せで税金が徴収されることになるのだが、全ての商品が対象になるわけではない。対象となるのは「娯楽品」に属する商品で、伝統的なものなどが属する「生活必需品」には税はかからない

1973年の法律施行以来、ジャッファ・ケーキは「伝統的な食品=生活必需品」に分類される「ケーキ」として販売され、付加価値税がかけられることはなかった。しかしこの商品、ビスケットと同じような長細い箱に入っており、さらに言えばビスケットと同じ売り場にて販売されていた。

この状況からイギリスの歳入関税庁は訝しんだ。
「お前……本当はビスケットじゃねぇの?」と。

面倒くさい仕組みだが、ビスケットは「娯楽品」に属するため、上述した付加価値税がかけられて値段が上がってしまう。値段が上がれば当然ながら顧客の手は伸びにくくなり、そのまま商品の売り上げの減少に直結するだろう。

ジャッファ・ケーキはビスケットなのではないか……税金がかけられようとした時、販売しているユナイテッド・ビスケッツ社は猛烈に抵抗。これにより、ジャッファ・ケーキがケーキかビスケットかをはっきりさせるため、全国民が注目する一大裁判が開かれることになった。

その結果、ジャッファ・ケーキは「ケーキ」であると認められる。

理由としては「ビスケットは放置したら生地が柔らかくなるけどケーキは放置したら生地が硬くなるやん? これは放置したら生地が硬くなるからケーキやで」という屁理屈のようにも思えることが大きかったと言われている。勿論、ユナイテッド・ビスケッツ社は他にもこれがケーキであることを証明しようとあの手この手を尽くしたのだった。

今でもイギリスでは人気商品として売られているらしいです。
行かれた方はぜひお土産としてどうでしょうか。税金はかかりませんよ。


◆「これ泡多くね?」:ビールの泡はビールに入るのか

暑くなればビールも売れる

舞台は1940年の日本。東京のビアホールにいた客の一人が「ビールの泡多すぎない?」とクレームを入れたことがすべての始まりだった。普段ならそこで有耶無耶になって終わるところだが、なんとこれが警察沙汰になる。

警察の捜査が進むにつれて、店が仕入れている生ビールの量と実際に売り上げた生ビールの量が釣り合わないことが発覚。クレーム通り、この店が普段からビールの泡をわざと多くして提供している可能性が濃厚になると、検察はこの店が不当に利益を得たとして裁判を起こしたのだった。

「ビールの泡」は「ビール」に含まれるのか。
裁判の争点はまさにそこだった。この時、裁判には酒学の権威でもある大学教授が証人として出席し、「ビールの泡はビールよりもアルコール濃度が高い」と証言する。この発言が決め手となった。

結果、1944年に「ビールの泡」は「ビール」に含まれることが裁判で確定してビアホールを運営する企業は無罪となった。

ビールの本場、ドイツでは泡の量は法律で規定されています。日本では泡の量を規定するものはありませんが、大体15%~30%であれば問題ないとされるそうです。泡が多すぎるのも問題だけど、泡がないビールっていうのもなんか違うからなぁ……


◆永遠に論争が続きそうな問題:トマトは果物か野菜か

原因はやはり税金だった

特撮ファンなら「フルーツトマトが果物か野菜か」について永遠に論争を続けることができそうですが、ここで取り上げるのは一般的なトマトについてのお話。ちなみに、糖度が70%以上のものが「フルーツトマト」に分類される。

舞台は1893年のアメリカ。当時のアメリカでは同年に輸入野菜に関税をかける法律が成立した。これによって海外からの野菜には10%の税金が価格に上乗せされることになったが、輸入業者は「トマトは果物だ」と主張。一方のアメリカの官僚らは「トマトは野菜であるから税金を払え」と主張し、裁判で争われることになる。

この時、ある植物学者が「トマトは茎になるから果物だ」と主張するも、結果、「トマトは野菜」ということになった。理由としては「野菜畑で作られる」「デザートにはならない」ということ。しかし植物学上はトマトは果物であり、あくまで「アメリカの社会では」トマトは野菜である、という少々面倒くさい結果になってしまったのだった。

ただ、茎になるから果物、と簡単に切り捨てられる問題ではなく、食べる時のことを考えれば「トマトは野菜」の方がしっくりくるような気がする。こういったこともあり、トマトが果物か野菜かについては植物学的証拠があったとしても論争が続けられるのだろう。

ちなみに日本の税関では「トマトは野菜」と扱われる。逆に「トマトはフルーツ」として扱う国には台湾・フランスが該当する。


おわりに:絶対に負けられない戦いがそこにある

先程述べた通り、食べ物の恨みは大変恐ろしいものがある。同じ食べ物でもその食べ方へのこだわりが強ければ衝突は生まれ、食べなかったとしてもその食べ物に対する考え方の違いが大きければそこでも衝突が生まれる。どうしてこうも人間は争うことが好きなのか(クソデカ主語構文)。

しかし、ある意味でこれは宗教戦争にも通じるものがある。これは自分たちの世界が懸かった戦いなのだ。これで敗北するということは今まで生きてきた自分自身が否定されることに繋がる。だからこそ「唐揚げに勝手にレモンかけるんじゃねぇよ!」と言い争いになるのだ。

食べる、ということは「文化」の一つ。お互いを尊重して「そういうのもいいよね」と認め合うことで無駄な喧嘩をせず平和に暮らすことができるのだ。なにより、いがみ合いながら食べる飯よりも笑いながら食べる飯の方が美味しいからね!

ということで記事はここで終わりだ。
たけのこの里でも食べて一息つくことにしよう。それでは!

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