【小話】ハンデスしてみたい?【水属性】
- By: Sirogane_sho(管理人)
- カテゴリー: 遊戯王, 雑学
- Tags: ハンデス, 水属性
目次
手札がなければ何もできないでしょ?
超古代文明の遊戯王では「手札破壊(ハンデス)」が最強の戦術として名を馳せていました。《いたずら好きの双子悪魔》《押収》《強引な番兵》で先に相手の手札を枯らした方が勝つ、というのは昔も変わっていないようで、相手の手札を捨てる《ダスト・シュート》《マインドクラッシュ》といったカードも猛威を振るいました。
他のカードゲームではわりとよくある「ハンデス」は、今の遊戯王では果たしてできないのか……いや、実はやろうと思えば結構できるんです。今回はそういう話を一つしようかと思います。
生き残った「ハンデス」戦術
膨大なカードプールの中でひっそりと息を潜める「ハンデス」カードですが、残念なことに、多くのデッキに採用できるほどの汎用的なものは残っていません。どのデッキに入れても強い《強欲な壺》が禁止カードになったように、遊戯王では、デッキ構築の幅を狭めかねない「とりあえず入れとけば強い」カードは規制される傾向があるからです。
では、今の遊戯王で相手の手札破壊を得意とするデッキは何か?
その答えは【水属性】です。試しに、下のカードを見てみましょう。
《水霊術-「葵」》
【 通常罠 】
①:自分フィールドの水属性モンスター1体をリリースして発動できる。相手の手札を確認し、その中からカード1枚を選んで墓地へ送る。
相手の手札を確認して、手札を捨てさせる――いわゆる「ピーピングハンデス」を行えるカードです。罠カードのためすぐに発動できないこと、フィールドの水属性モンスターをリリースしなければならないことはありますが、相手の使うデッキを推測しながらキーカードを叩き落とせるのは非常に魅力的と言えるでしょう。
また、《水霊術-「葵」》自体も《憑依覚醒-ガギゴバイト》の効果で手札に加えられるため、昔よりもずっと使いやすさが向上しました。現在の水属性デッキは昔と比べれば展開力が爆発的に向上しているため、このカードを軸にハンデスを狙う、というのもやりやすくなっています。
そして、水属性のハンデスカードで忘れてはいけないのが……
《氷霊神ムーラングレイス》
【 効果モンスター 】
星 8 / 水 / 海竜族 / 攻2800 / 守2200
このカードは通常召喚できない。自分の墓地の水属性モンスターが5体の場合のみ特殊召喚できる。このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが特殊召喚に成功した場合に発動する。相手の手札をランダムに2枚選んで捨てる。
②:表側表示のこのカードがフィールドから離れた場合、次の自分ターンのバトルフェイズをスキップする。
「レベル8・水属性・海竜族」という勝ち組ステータスをしている《氷霊神ムーラングレイス》は、かなり癖のある効果こそしていますが、墓地のモンスター枚数を調整できればポッと出て2枚ハンデスを行います。《海皇の竜騎隊》でサーチできるため《深海のディーヴァ》《海皇子 ネプトアビス》を使うことで簡単に手札へ用意できます。
これで手札を3枚は捨てられますが……え、まだ足りない?
相手の初期手札は5枚だって? しょうがないな……
《氷結界の龍 トリシューラ》
【 シンクロモンスター 】
星 9 / 水 / ドラゴン族 / 攻2700 / 守2000
チューナー+チューナー以外のモンスター2体以上
①:このカードがS召喚に成功した時に発動できる。相手の手札・フィールド・墓地のカードをそれぞれ1枚まで選んで除外できる(手札からはランダムに選ぶ)。
《幻子力空母エンタープラズニル》
【 エクシーズモンスター 】
星 9 / 風 / 機械族 / 攻2900 / 守2500
レベル9モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、
以下の効果から1つを選択して発動できる。
●相手フィールド上のカード1枚を選んでゲームから除外する。
●相手の手札をランダムに1枚選んでゲームから除外する。
●相手の墓地のカード1枚を選んでゲームから除外する。
●相手のデッキの一番上のカードをゲームから除外する。
トリシューラは盤面除去のついでに手札を1枚除外していきます。また、他に《飢鰐竜アーケティス》等のレベル9モンスターを用意できれば《幻子力空母エンタープラズニル》をエクシーズ召喚して、相手の手札を1枚追加で除外できます。特に制約が無ければ《浮鵺城》で墓地のレベル9モンスターを特殊召喚して、そのままランク9を作る手法もあります。
これで追加の2枚、合計5枚ハンデスが決まりました。相手の手札は0枚です! もう十分でしょ!
え、次のドローフェイズでカードを1枚引けるだろって? マジで何言ってるんだ?
《強烈なはたき落とし》
【 カウンター罠 】
①:相手がデッキからカードを手札に加えた時に発動できる。相手は手札に加えたそのカード1枚を捨てる。
ほらよ……使えよ……
まだまだあるよハンデスカード
上記のカードたちと比べれば汎用性・使いやすさで一歩劣りますが、実はまだ、やろうと思えば水属性デッキはもうちょっとだけハンデスできます。試しに見てみましょう。
《氷天禍チルブレイン》
【 効果モンスター 】
星 8 / 水 / 天使族 / 攻2600 / 守200
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:自分フィールドの表側表示の水属性モンスターが戦闘または相手の効果で破壊された場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。その後、相手の手札をランダムに1枚選んで墓地へ送る事ができる。
相手によって自分の水属性モンスターが破壊される必要がありますが、展開の途中で手札から現れることで、必要なパーツを墓地へ送ることができます。レベル1・水属性・魔法使い族モンスターの《クリスタル・ガール》で手札に加えることもできるため、こちらの初動次第では展開の最中に手札へ用意することもできます。
また、デュエル中盤以降、攻撃ができる状況なら以下のカードを使う方法もあります。
《ハイドロプレッシャーカノン》
【 装備魔法 】
レベル3以下の水属性モンスターにのみ装備可能。装備モンスターが戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、相手の手札をランダムに1枚墓地へ送る。
レベル3以下の水属性、というかなり絞られた範囲ですが、このカードは「海皇」カードと非常に相性の良いカードとなっています。特に、フィールドに存在する限り、自分のレベル3以下の海竜族モンスターが相手に直接攻撃できるようにする効果を持つ《海皇の竜騎隊》との組み合わせは最高です。「海皇」と相性の良い「水精鱗」はテーマ内に装備魔法を有しているため、《アームズ・コール》といった装備魔法サポートも共有できます。
最後に、ハンデスとは少し違いますが……相手の手札補給を断ち切る「ドローロック」ができるカードを1枚紹介します。あの悪名高き《八咫烏》が禁止カードだと言うことは皆さんも知っていると思いますが……
《フェンリル》
【 効果モンスター 】
星 4 / 水 / 獣族 / 攻1400 / 守1200
このカードは通常召喚できない。自分の墓地の水属性モンスター2体をゲームから除外して特殊召喚する。
このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、次の相手ターンのドローフェイズをスキップする。
攻撃力1400……というステータスも、現在の水属性デッキに無理なく積める《マスター・ボーイ》《水精鱗-サラキアビス》《深淵に潜む者》でサポートできます。モンスターの破壊こそ必要ですが、一度決まれば「ドローロック」という極めて突破の難しいロックをかけることができ、盤面の状況によってはそのままチェックメイトをかけられる1枚です。
それこそ、相手のドローをロックして仕事を終えた後は《深淵に潜む者》のエクシーズ素材となって、次のターンの相手の墓地利用を封殺することもできます。その昔考えられていた【フェンリルハンデス】というデッキも現代遊戯王ではもっとテクニカルな動きで再現できそうですね。
知ってほしいけど、流行ってほしくはない(本音)
「手札」に干渉する効果を持つ水属性……というイメージが、昔から遊戯王には存在しました。それこそ水属性儀式モンスター《イビリチュア・ガストクラーケ》の効果をループさせて手札を0枚にする、なんてデッキがあったくらいです。他のカードゲームでも「水」は手札にまつわる効果を得意としますが、もしかしたらカードゲームの祖であるMTGからあった流れかもしれません。ハンデスはどっちかというと「闇」かもしれないけれど……
カテゴリのサポートを駆使して戦う「デザイナーズデッキ」が幅を利かせている遊戯王ですが、今回の記事を踏まえて、知らないカードと出会って知見を広げていただければ幸いです。ちょっと自分でデッキを作ってみたい、と言う方は是非「プレイヤーズデッキ」の門を叩いてみてください。
あ、でも、ハンデスはあんまりしてほしくないかもです……遊戯王って二人でやるゲームじゃん? だから、その、《マインドクラッシュ》をやめていただければ……ア、はい、サーセン……(手札0枚)
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